The Dragon Scroll

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ITSSにみるアーキテクト。

私にとって、アーキテクトという言葉にはそれなりの
思いがある。
ITSSに定義されたITアーキテクトという職種についての
考察。


ほとんど流行らなかった、ITSSバージョン1では、
アーキテクトについて、以下を実施するものとしている。


−戦略的情報化企画
・ソリューションの枠組み策定
・ソリューション設計
−開発
コンポーネント設計の助言


さらに、以下の専門分野に分かれるものと定義している。


●アプリケーション
ソリューション及びソリューションコンポーネント
機能的な見地にフォーカスしたシステム方式設計を行う
●データサービス
ソリューションをデータの見地から必要となる構成要素に
フォーカスしたシステム方式設計を行う
●ネットワーク
ソリューション及びソリューションコンポーネント
ネットワークの見地にフォーカスしたシステム方式設計を行う
●セキュリティ
ソリューションを企業内、企業間のセキュリティの
ビジネスニーズにフォーカスしたシステム方式設計を行う
●システムマネジメント
ソリューションを大規模かつ複雑なシステムの
システム運用にフォーカスしたシステム方式設計を行う


正直なところ、このような分野の分け方に意味があるとは
思えない。


アーキテクトとは、別項でも記載したが、一気通貫に、
システム全体の構造をデザインするエンジニアであると
私は考えている。
従来は、システム要素毎にエンジニアが必要であり、
全体システム構造を設計する際に、方式のバランスが取れなかった。
それを打破するために、全体を俯瞰するアーキテクト
という存在に意義が出て来たのだと考える。


ゆえに、データベースもネットワークもセキュリティも
機能も、システムを構成する全ての要素について隔てなく
検討し設計しなければ意味を成さない。


データベースにフォーカスして…、ネットワークに
フォーカスして…では、結局、現状と変わらないではないか。
データベースエンジニア、ネットワークエンジニア、
アプリケーションエンジニアをそれぞれ揃えるということに
他ならない。


何のために、アーキテクトというエンジニアが存在するか
その目的も意義もなくなってしまう。
そういう訳で、ITSSバージョン1については、あまり
興味は無かった。


一方、バージョン2では以下のように専門分野を
定義している。


●アプリケーションアーキテクチャ
ビジネス及びIT上の課題を分析し、機能要件として再構成する。
●インテグレーションアーキテクチャ
全体最適の観点から異種あるいは複数の情報システム間の統合
及び連携要求を分析し、統合及び連携要件として再構成する。
●インフラストラクチャアーキテクチャ
ビジネス及びIT上の課題を分析し、システム基盤要件として
再構成する。


システム要素毎の分類ではなくなっている。
機能要件を取り纏め、デザインするエンジニア。
連携要件を取り纏め、デザインするエンジニア。
インフラ要件を取り纏め、デザインするエンジニア。
という要件毎の分類ということになるのだろう。


もはや専門分野を設ける必要はあるのだろうか?という気も
してくるが、大規模化、複雑化するシステム構築に
対応するためには、3つの観点からアーキテクトを
召集する必要があるということなのだろう。
(しかし、アプリケーションアーキテクチャという分野は
 アプリケーションエンジニアと同違うのだ?)


私としては、やはり、アプリケーション屋の側面も
インフラ屋の側面も両方兼ね備えているべきだと
考えているが、無茶な話なのだろうか。
しかし、そのような存在こそ、今まで必要とされながら、
存在しなかったグランドデザイナーこそ、アーキテクトと呼ばれる
エンジニアだと思っている。