The Dragon Scroll

Be just and fear not.

開発の現場に必要なのは、"アジャイルっぽい開発"ではない。

1年近く携わってきたプロジェクトが、そのシステムの
カットオーバーを待たずして、終了する、その喪失感と
言ったら、どれほどのものか。空虚。
しかし、開発側以上に、顧客の方の思い、その思いの深さをこそ
推して図るべしだろう。
"ちょっとした規模"の開発プロジェクトを最初から最後まで
2回こなせるくらいの投資に対して、残された成果物には、
コードの断片すらない。
時間と労力と、資金を費やして、でも、動くものは何もない。
これが、滝の開発だ。
われわれは一体、どれだけの価値を残せたのだろうか。


価値へのアクセスを早期に実現する開発がある。
もし、われわれが、滝ではなく、アジャイルな開発を提案して
いたら。
顧客は、"ちょっとした規模"のソフトウェアを手に入れられて
いたのではないかと、想像する。
果たして、価値の提供できない者に、顧客は価値を
見出してくれるだろうか。

現在のやり方を変え、顧客の組織を成功に導くとともに、
自分たちも成功したいと思っていますか?


Yesと答えたから、僕は、この本を手にした。

アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング (THEORY/IN/PRACTICE)

『アート・オブ・アジャイルデベロップメント』は、XPの本だ。
重さは、771gある*1
この本を読んでいて、監訳者の木下さんを何度も
思い浮かべた。なぜなら、この本がスクラムでも、FDDでもなく、XPの本だからだ。


開発の現場に必要なのは、"アジャイルっぽい開発"ではない。
顧客に価値が提供できるやり方だ。
この本には、そのことが書いてある。