開発の現場に必要なのは、"アジャイルっぽい開発"ではない。
1年近く携わってきたプロジェクトが、そのシステムの
カットオーバーを待たずして、終了する、その喪失感と
言ったら、どれほどのものか。空虚。
しかし、開発側以上に、顧客の方の思い、その思いの深さをこそ
推して図るべしだろう。
"ちょっとした規模"の開発プロジェクトを最初から最後まで
2回こなせるくらいの投資に対して、残された成果物には、
コードの断片すらない。
時間と労力と、資金を費やして、でも、動くものは何もない。
これが、滝の開発だ。
われわれは一体、どれだけの価値を残せたのだろうか。
価値へのアクセスを早期に実現する開発がある。
もし、われわれが、滝ではなく、アジャイルな開発を提案して
いたら。
顧客は、"ちょっとした規模"のソフトウェアを手に入れられて
いたのではないかと、想像する。
果たして、価値の提供できない者に、顧客は価値を
見出してくれるだろうか。
現在のやり方を変え、顧客の組織を成功に導くとともに、
自分たちも成功したいと思っていますか?
Yesと答えたから、僕は、この本を手にした。
アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: James Shore,Shane Warden,木下史彦(監訳),平鍋健児(監訳),笹井崇司
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: 大型本
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『アート・オブ・アジャイルデベロップメント』は、XPの本だ。
重さは、771gある*1。
この本を読んでいて、監訳者の木下さんを何度も
思い浮かべた。なぜなら、この本がスクラムでも、FDDでもなく、XPの本だからだ。
開発の現場に必要なのは、"アジャイルっぽい開発"ではない。
顧客に価値が提供できるやり方だ。
この本には、そのことが書いてある。