The Dragon Scroll

Be just and fear not.

Wikiの威力(2)

③共有の問題

ワード、エクセル等のデスクトップアプリケーションで、設計書等、
PJの成果物を作成する場合に、3つ目の問題があります。
それは、共有の問題です。


そもそも、デスクトップで使用することを前提としていますから、
複数人で更新し、共有するのには向いていません。
1.長大なフォルダ構成から、目的の成果物を探し出す
2.探し出したファイルが最新のモノか確認する
3.誰かが更新中であれば、それを待つ。
4.更新後は、メール等で更新内容と、配置パスの通知を行う…


時には、誰かが誤って古いファイルで上書きしてしまう。
あるいは、設計書作成を分担した場合、ドキュメントの中身に
ついて統一が取れないことはありませんか。
内容の粒度の大小や、微妙なデザインの差。
(例えば、項番ひとつを取ってみても、ある人は、「・」と書き、
 別の人は「■」と書き…)


もう一つ、代表的な問題があります。
プログラムと設計書の乖離です。
プログラムの更新に対し、設計書が追いつかなくなる…。
この問題に対する、銀の弾はなく、ドキュメントの負荷がえんえんと
エンジニアを苦しめる。

Wikiによるドキュメント作成と、整理

Wikiに関する基本的な機能については割愛します。)
これらの問題に対し、Wikiを使用することで、一定の成果を
上げられるのではないかと、考えています。
①情報整理の困難さ
②Tipsの漏れ
③共有時の問題
いずれも、ひとつの原因があります。
それは、「ドキュメントを作成するのは、ワードであったりエクセルであるが
ドキュメントを管理するのは、ファイルシステムである」からです。


コンテンツと、管理がひとつの手段でできれば如何でしょうか。


1.コンテンツを作成する。
2.目次(というコンテンツ)を作成する(=コンテンツの一覧)。


Wikiでやることはこれだけです。
①情報整理の困難さ
⇒ ツリー構成をWikiコンテンツに書けば良いのです。
②Tipsの漏れ
⇒ メモ書きでも、Wikiであれば残しやすく、①と合せて管理が容易です。
③共有時の問題
⇒ そもそもWikiの目的は、「情報の共有」です。得意とするところです。


ワード文書をエクスプローラから探し、開く行為と、
ブラウザでHTML文書にアクセスする行為と
どちらが、ストレスがかからないでしょうか。
あまり、差がないように思われるかもしれませんが、私は圧倒的に
ブラウザでアクセスする方が楽です。
そうすると、細かいTipsも残す気になるというものです。


また、設計書を、Wikiで書くようにしては如何でしょうか。
表現の問題上、すべての設計書がWikiで書けるとは思いませんが
Wikiで書いておけば、PJメンバの共有性が高まり、修正コストを
押し下げます。
JavaAPIリファレンスをイメージして頂ければ良いかと思います。
メンバが参照する頻度が増え、その分、指摘する可能性も高まります。


Wikiは、手軽さ、情報の管理のしやすさという点で「紙」をも
凌駕する一面を持っていると、私は考えています。

Wikiは銀の弾になりえるか

では、Wikiは銀の弾となりえるのでしょうか。
Wikiもいくつかの問題を抱えています。
ひとつは、更新時の排他制御です。
コンテンツをファイルベースで管理するWikiの場合、更新時の
排他制御が問題となります。


二つ目は、表現の制約です。
早い話がHTML文書なので、エクセルやワードのように、図が書けません。
これは設計書を書くにあっては、致命的かもしれません。
私は、これに対し、エクセル等で画を起こし、JPGファイルに保管し
Wikiに貼り付けることでしのいでいます。
この点については、エクセルのような手軽さはないですね。


いずれにせよ、Wikiは、「文房具」として使えます。
作成するドキュメントの性質に注意して、気軽にWikiを適用してみては
如何でしょうか。

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