The Dragon Scroll

Be just and fear not.

デブサミに置いてきたバトンを、手渡しする。

デブサミの世界へと、戻る。

…終わって、壇を降りたとき、岩切さんが居た。
岩切さんの顔を見て、あぁ、私にも何か話が出来たんだなぁ、良かったと思った。

デブサミからもらったものをデブサミに返してきました。 - papandaDiary - Be just and fear not.

自分の番を終えて、デブサミに関してはもう、やりきったなと思っていた。
デブサミとの付き合いは、2003年最初期からで、いち参加者だった自分が
登壇までするに至ったのだから、もう、やりきったと思った。
なにより、角谷さんからもらったバトンを、デブサミの会場においてくることが出来たのだから。


ところが、それから半年以上経った、ある日。
1通のメールで、また、僕はデブサミの世界へ帰ってくることになる。
和田さんだった。
デブサミ2011のコンテンツ委員に誘ってもらった。
本当にありがたい言葉も頂いて、一方、自分にコンテンツ委員になる資格が
あるのだろうかと、一瞬の戸惑いが湧いた。
コンテンツ委員は毎回、錚々たる顔ぶれで、そこで、自分に何か出来ることは
あるのだろうか?と。


2つの思いが浮かんだ。
1つは、デブサミ2010の壇上においてきた、バトンのことだ。
あれは、まさに置いてきたのだ。
今度は、置いてきたあれを、誰かに手渡しすることが出来る。
私は、和田さんとハイタッチするメールを返し、デブサミに戻ることを決めた。
もう1つの思いは、最後に、私のデブサミ2011の締めとして書くことにする。

デブサミに何を込めるのか。

さて、自分がデブサミのコンテンツを作るならば、どこに軸足を置くか。
誰に話をしてもらうか、の前に、自分がデブサミにどういう思いを込めるのか。
既に、心に決めていたことがあった。
それは、2008年のデブサミ頃に自分が感じたことであり、DevLOVEを始めた思い
に他ならない。


デブサミ行って、それからどうするの?


今日のデブサミは実に楽しかった。良い話聞けた。
さて、明日から現実の世界へ帰ろうか。
現実の世界では、昨日聞いたデブサミの話は、確かにそうなればイイよねという、
ただの理想の話になってしまう。
デブサミは熱い。でも、現実の世界の気温は、驚く程低い。


しかし、だ。
周囲の気温が上がるのを待っている程、人生は長くない。
自分が動き出さなければ、何も変わって行きはしない。
自分の世界を変えるのは、どこか遠くにいる誰かなんかではない。
自分の世界を変えるのは、自分自身だ。


私が、そう思いこめたのも、デブサミがあったからだった。
デブサミ2007で、角谷さんの月を2本の指で指す話を、体感したからこそだった。
自分が動くことで、本当に変化を感じられたから、だった。


今日のデブサミは実に楽しかった。良い話聞けた。
さて、明日から現実の世界へ帰ろうか。
その息は、本物なのか? *1
本当に、辿り着きたいところはどこなのか?
恐るべき砂漠の世界で、何かに耐え続けることなのか。
違うのではないか。違うからこそ、デブサミに行くのではないか。
何のために、デブサミに行くのか?
私が、デブサミに恩返しするならば、そこに込める思いも、もう決まっていた。

自分の腕一本で、今までは無かった、甲斐のあるものを生み出す事ができる。[都元ダイスケ]

友人に、薬剤師からプログラマーに転向したハッカーがいる。
都元大ちゃんだ。
彼との出会いは、2008年頃にBPM勉強会の懇親会で知り合ったのがはじまりだったように思う。
私は、java-jaの人たちとあまり接点が無いまま、今に至っているのだけども、
なぜか彼とは、年に1回という低頻度で飲むことをしていた。
そこで、お互いが持っている野望の進捗確認をする。
今年は、ここまで出来た。次は、こういうことをする。
彼は、主に地豆について語り、私は、DevLOVEについて語っていた。


デブサミで誰に言葉をみんなに届けて欲しいか、と考えたときに。
大ちゃんが最初に浮かんだ。
エンジニアという職種は奇妙だという。 - papandaDiary - Be just and fear not.
エンジニアは、奇妙な職種だという。
自分の腕一本で、今までは無かった、甲斐のあるものを生み出す事ができる。
そう、我々の生業は実に、クリエイティブだ。確かに、現場の騒然とした開発の中では
そのことを見失い易いかもしれない。


明日から開発の現場で何が始められるか、という視点での話をお願いした。
大ちゃんには、ただただ、彼のやったことを話してもらうだけで良かった。
それだけで、システム開発という生業の意義を、思い出せる時間になると思ったから。


ところが、彼は予想を超えたクリエイティブさを魅せつけた。
デブサミ壇上リリース Jiemamy v0.3.0 - 都元ダイスケ IT-PRESS
当日、彼は、デブサミの壇上から地豆をリリースしたんだ :-)

本当に、現場でやれることは、もう無いのだろうか。 [川島義隆]

あらかたデブサミのセッションテーブルが決まり、少し落ち着いてモノを考える余裕が
生まれたのは、2010年も空けた、1月の頃だった。
デブサミまで、1ヶ月強。あとは、当日を迎えるだけだ。


ところが、何かが足りない感覚が自分の中にあることに気づいた。
テーマは揃っている。デブサミの最後には、参加型のセッションもやる。
足りないと感じたのは、おそらく多くの人が関与している、受託開発のこれからについての言及だった。
本当に、現場でやれることは、もう無いのだろうか。
昨今のご時世*2SIerに居て、これからの受託開発について、そのビジョンを語れる人は、そう多くないはずだ。


でも、僕は、その多く無い中での、1人のアーキテクトを知っている。
川島さんだ。
SIerに居ながらにして、壮絶になりがちな開発の現場を、独特の世界観で変えていく。
前職に居た頃、社内版デブサミを始めたときからの付き合いで、決して深い仲でもなく、それでいてなぜか傍にいる関係。
昔、なぜ社内版デブサミに付き合ってくれているのか、聞いたことがあった。
相手は、現実世界が常にゼロとイチのマトリックスで見えているかのような、ハッカーだ。
恐るべき答えが、ゆっくりと返って来た。
「会社で、学園祭みたいなのがあれば、面白いよね。」


デブサミを終えて、ゆうすけさんのスライドを眺めていて、思った。
これは、川島さんとゆうすけさんを、引きあわせねばならない、と。
しかしながら、沸点の低い(それでいて、燃えるような熱さがある)二人を引き合わせるのは、引き合わせ側としては、少々緊張する感もある。
いやいや、それこそが、自分の役割なのだろうなと、その日を楽しみに作りたいと思っている。

DevLOVEが停滞するどころか、逆に勢いを得たのは、彼が参加したからに他ならない。[上野潤一郎]

デブサミには、コミュニティLTという企画がある。もう3〜4年は続いているだろう、人気の企画だ。
DevLOVEは、2009年については私が話した。
2010年、そのバトンを、DevLOVEを二人から始めたときの相棒 竹本 に渡した。
さて、2011年、LTが出来るならば誰に話をしてもらうか。
そのバトンを次に渡すのは、今バトンを持っている竹本なので、竹本が渡すべき相手に渡せば良い。
ということで、彼が渡したのは、うえじゅんさんだった。


コミュニティが持続していくためには、相応のパワーが要る。
2010年、DevLOVEが停滞するどころか、逆に勢いを得たのは、彼が参加したからに他ならない。
私自身、2010年彼と出会えたことは、人生の上での、大きなことの1つだと思っている。
2012年、彼がまた誰かにバトンを渡せるように。
DevLOVEは、続いていく。


デブサミ2日目のエントリに続く)

*1:「その息は、本物か?」モーフィアス

*2:SIとService開発、両者を経験したからこそ思うところがあり、それはまた別の機会にまとめたいと思っている