The Dragon Scroll

Be just and fear not.

僕らは、こんな高い山を登ろうとしていたのか。

他の人が書いた、記事に対してはあまりトラックバックしないのだけど、
このエントリに対しては、ひとことふたこと書きたくて仕方なくなった。
エベレストを登る話。
2008-05-16 - 岡村日記


お金を出すから、この山を登ってきて欲しいと言われる。
遠めから見て、恐ろしく高いことは分かる。
しかし、その山の詳しい状況は分かっていない。
僕たちがいる場所からその山まで、どのくらいの距離があるのか。
高さは実際のところどのくらいあるのか。
気温はどうなっているのか。天候はどうか。地面の状況は?
ピッケルだけで登れるのか?ピッケルの使い方はどうだっけ。
山の上には、危険な動物はいないよね?
いや、そもそも、この山のどこまで登ればいいんだ。
スポンサーは言う。


「できるだけ、頂きまで。」


こんな危険な冒険は、普通やらない。
第一、みんな、これまで酷い目にあってきたじゃないか。
どうなるか、分かっているじゃないか。
昔、太平洋を手漕ぎボートで横断しようとしたよね。
にも関わらず、なぜか、僕たちの背中を押す力が働く。
間違ってもそれは、チャレンジとは呼ばない。


システムの刷新を企画し、構想を練る。
システム化の対象範囲を特定する。
この、システム企画の段階で行う、既存システムや業務の分析が
どれだけ深堀出来ているかによって、その後の運命は決まる。
この分析が甘い場合、その後の要件定義フェーズで、
ほとんどの時間を、既存システム・業務の分析で費やすことになる。
最初から、分析を要件定義の頭で行うと決めていれば、
こじれる話もないが、その認識や合意が得られないままだとすると
様々な不整合を生むことになる。
顧客とのコミュニケーションギャップ。
開発側の準備不足。
この結果、分析自体が、中途半端になるか、あるいは、分析に時間をうばわれ、
要件定義の方が、中途半端になる恐れがある。
 


とにかくも先に進んでいれば、おぼろげながら何かが見えてくるものだ。
そして、愕然とするのだ。


僕らは、こんな高い山を登ろうとしていたのか。


でも、背中を押す力は弱まらない・・・。



どうも、違う山を登る人が足りないらしい。
一旦、その山を登るのをやめて、別の山へ登れを言われる。
なんとか、エベレストの登山のパーティから外されたエンジニア。
彼は、命拾いをした、と安堵の声を漏らす。
しかし、彼は直ぐに知ることになる。
彼が次に登ろうとする山が、キリマンジャロであることを。