The Dragon Scroll

Be just and fear not.

My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド

「言われてないことはやらなくてもいいんでしょ。」
という気持ちになっていやしないか?
自分自身に危機意識を持てているかどうかということ。


意識を持てているかどうかは、重要ですね、
上司とそんな話をしていて、私は思った。
危機意識というものは人から押し付けられて、持つものなのだろうか?と。
先日、読んだ畑村洋太郎氏の本で、「技術は伝えるものではない、伝わるものだ。」
という言葉があった。

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

意識のあり方もまさしくそれと同じだと思う。
ましてや、意識は人の心の問題である。技術とはまた、訳が違う。
「意識とは、与えられるものではない、芽生えるものだ。」
今現在の自分自身をどう捉えるのか?
そして、未来の自分はどうなっているのか?
そのことに思いを巡らせれば、自ずと意識は芽生える。


"気付き"は必要かもしれない。
しかし、気付きも自分で仕掛けるべきだ。
自分のために、他人が何か考えてくれるわけがない。
それは組織とて同じことである。
自分のために、組織が何か考えてくれるという甘い考えを
持ってはいけない。
自分のために、何かを考えるのは、自分だけなのだ。
自分のためになる"気付き"も自分で、用意しておかなければ
ならない。
私の場合は、社外のセミナーやフォーラムに出ることが、
"気付き"の一つである。
先日のデブサミが、例えばそれだ。


壇上で、この上なく熱く語る講師。
練りに練られた方法論を語る講師。
臆せず、論旨をたんたんと主張するディベーター。


そういう方々を見て、私は危機意識を強く持つ。
自分は、このままではいけないと思い知らされる。


さて、上司と危機意識について話をした翌日に
この本を手にしたこととは、全くの偶然に過ぎない。

My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド

My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド

デブサミで角谷氏が推薦してなければ、この表紙と
サブタイトルを見ただけで、私は買おうとは
思わなかっただろう。


やけに暗そうな表情の青年が持つダンボールの裏には
「Will Code For Food(食べるためにコード書きます)」
とある。
サブタイトルから、オフショアに関する書籍であることが
わかる。
しかし、本書は、「オフショア開発、こうあるべき」を論じた
ものではない。
「ソフトウェアディベロッパーよ、危機意識を持て!」
まさに、この話についてであった。


オフショア開発の時代を向かえ、オフショアでできることに
しがみついている開発者は、組織にとって不要になる。
開発者は、オフショアできないことに投資すべきであり、
そのことで貢献し、アピールできなければならない。
と本書は言う。


オフショアの是非についてはさて置き、開発者の意識の持ち方として
本書は非常に有効だと思う。
例えば、項目24のタイトルは、
「自分にどれだけの価値があるか?」
である。
開発者に払う給与と雇用に付随するコストを上回る成果を
出せないようであれば、組織が、その開発者を雇用する意味はない。
そのことを突き付けられる。


この本を読んで、危機意識が芽生えないものは、既に
その意識が既にあるか、本に書いていることは自分とは関係ないと
考える輩のいずれかであろう。
私が、仮に、部門を経営する立場の人間であれば、
四の五の言わずに、この本を買って、読ませるだろう。
それだけで、ほとんどの場合、事は足りるはずだ。