The Dragon Scroll

Be just and fear not.

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

ちょっと、前の本になりますが、藤原正彦氏の『国家の品格』を
読みました。
あまり流行り物は、あえて読まない方なので、一読が遅れて
しまいましたが、感想は、


読んでおいて良かった。


このまま読まないままにならず、良かったです。
なお、新渡部稲造の『武士道』の引用が随所でされていますが、
私は、同じく新渡部さんの『自警録』が大事にしている一冊です。


国家の品格』では、「論理よりも大切なことがある。」
「論理では説明できないことがある。」ということを繰り返し説いて
います。論理を超えるもの、それは情緒であると。


私が職種としているシステムエンジニアなどは、論理の権化といった
ところでしょうか。
論理的思考や行動が必要とされ、またその類の書籍や研修が
数多あります。
実際、システム開発みたいな、デリケートな作業には、論理的思考という
のは不可欠です。論理を完全否定することはできません。
ロジックを積み重ねて成果物を生み出した時の満足感は、エンジニア
にとって無上の喜びです。


それとは別の次元で、著者の主張は、とてもすんなりと受け入れることが
できる。寧ろ、ほっとした。
「ならぬものはならぬものです」
本書でも引用されている、武士道における言葉。
許されないことに理由などいらない。
理由をあえていうならば、それは「卑怯」だから。


論理的ではないですよね。しかし、心にぴたりと収まる感じがします。
何よりこの本が売れたという事実が、嬉しかった。