The Dragon Scroll

Be just and fear not.

ふりかえり〜(11)悪循環

自分をエンジニアとして成長させるという意味では、
良い修行の場にいました。


退職した私は、1ヶ月のモラトリアム生活に入りました。
これだけ長い休暇を、働きながら取るのはまず難しいでしょう。
人生の上での、空白期間をあえて作り、十分な休息を得ました。
この間、年金や健康保険の手続き等、相当面倒なことはあります。


さて、長い休暇もいつかは必ず終わるもの。
私は、メーカ系のSIerで新しいキャリアを始めることになります。
今までの、n次請けエンジニアからプライムコントラクターとしての
仕事になります。相当な期待を持っていました。


「これからは、巷の書籍や雑誌で謳われているような開発手法や
 設計技法を駆使して、上流SEとして仕事をするのだ。」


上流=上等という、誤った認識を持っていた私は、すぐに行き詰ることに
なります。


先輩は、大局的な見地からひとつのPJを任せてくれようとしていたのですが
当時の私は、舞い上がって全く状況が見えていませんでした。


肩に力ばかり入って、思い上がって、それでいて、何もできず、焦るばかり。
焦るとさらに、自分の考えに固執し、前に進めない。
私は、思考の悪循環に陥っていました。


さらに、「会社」への過度な期待が、逆に私を焦らせました。


この会社で、自分は上流SEとして仕事ができるんだという期待。
会社が、私に何かをしてくれるという期待。
(私は、「仕事」に行くのではなく、「会社」に行ってました。)


しかし、実際には、SIベンダーとはいえ、協力会社に案件を丸投げする
ケースが多い。


「こんなはずじゃない。」という思いはあるが、自分にはどうすれば良いか
わからない。


ユーザの業務も、システム仕様も、あるべき姿も、果たすべき目的もわからなくなり、
その結果、
ユーザとの話もできず、
協力会社との話もできず、
先輩との話さえもできず、
入社3ヶ月後には、自分の役割を完全に見失い、私は途方に暮れていました。


最後には、一番嫌な言葉が浮かびました。
「ひょっとして、この転職は失敗だった…?!」