DevLOVEの11年を振り返る(前篇)
DevLOVEが10(+1)周年を迎えました。記念回を開催します。
概要とお申込みはこちらから DevLOVE X イベントサイト。
DevLOVEは、2008年6月21日に立ち上げたコミュニティであり、次の2019年6月21日で、丸11年を迎えます。これまでの積み上げを記念するべく、DevLOVE Xという回を企画した次第です。
10年に1回の機会ということで、これまでの歩み(11年)を駆け足で振り返ってみたいと思います。細かい目次はこちらにあります。
2008年(開催数1)
まず、2008年。この年はなんと言っても、立ち上げの年。最初にやったのは、DevLOVE2008です。告知サイトもお手製。たしか「海岸沿いのSIer」時代に後輩の新人さんにつくってもらったのでした。メガネの友人と2人で立ち上げ、海岸沿いのSIer仲間にはいろいろと助けてもらいました。
お話されたのは、川島義隆さん、石沢健人さん、木村慎吾さん、吉村譲さん。吉村さんはチームラボの方ですね。最初の頃の記念回にはよく出てもらっていました。
何もかもお手製で、確か席がなくて、ブルーシートを会議室にひいてみんなに座ってもらったのだっけ。80人くらいの人が集まったように思います。
イベントタイトルのBridgeは、分断された現場と現場の架け橋になろうという思いからきています。そうした思いは少なからず実現できたのではないかと、10年経ってみて思います。ここからすべてが始まりました。
2009年(開催数9)
忘れられない初期のDevLOVEの一つが「世界の全てをテストせよ。 」。話し手は、和田卓人さん、鈴木三紀夫さん。このお2人ですからテーマはもちろん「テスト」ですね。
この回から、DevLOVEの型ができたように思います。話し手が話して、その後参加者全員でテーマについて対話をするという形式、テーマの切り口は開発の現場と関わりが深く、実践的なもので。理論を紹介するのではなく、実践知を共有する(ハンガーフライト的)。そうしたDevLOVEの型がこの回で確立したのでした。和田さんには、DevLOVE Xでもお話しいただきます。
DevLOVEの「テーマの多様性」というのは今現在までに続くあり方の一つです。こうした方向性が、様々な領域のひとを巻き込む結果となり、コミュニティとして身柄が大きくなっていく要因となりました。プログラマーだけではない、デザイナーも関われる、さらにプロマネも、インフラ寄りの人も、マーケターも、といった具合に巻き込む領域が自ずと広がった次第です。
2009年の最後に、DevLOVE2009Fusionを開催。Bridgeから1年ということで、記念回的として規模を広げて複数トラック方式で実施しました。話し手は、角谷さん、倉貫さん、鈴木雄介さん、萩本順三さん他あわせて10数名の方々。年に1回規模を広げて開催するDevLOVEの原型ともいうべき回で、この時の型もやはり現在に至るまで変わっていません。DevLOVE Xも規模を広げてはいますが、この頃の型と基本的には変わりません。
Fusionと名付けたのは、テーマの多様性で各領域や各現場を越えて集まってきた者同士で、それぞれの実践知を融合し合おうという意図がありました。ここに「越境」という言葉の原型がすでにあったことになります。
そう、DevLOVEの歴史を振り返ると、様々な原型がそこかしこにあります。それだけこのコミュニティの存在は特別で、人生とともにあった、と言っても決して大げさではない場であったのです。
2010年(開催数26)
Fusionを終えて、コミュニティとしての安定感を得たあとの2010年。テーマ設定は「僕らの開発がアジャイルであるために」「コトそのものではなく、コトの外側を標準化する」「変化は自分から始まる」といった具合で、手段よりから目的よりが増えた年でもありました。開催数は26。活動量が大幅に増した年でもあります。
この年の終わりに、HangarFlightと銘打ったイベントを開催しています。年に1回は大きめのDevLOVEをやる、という習慣ができていました。
2011年(開催数33)
デブサミでDevLOVEとしてのセッションを持ちました。その後、3.11震災。震災で足がすくんでいたところを変えるきっかけとなったのが「DevLOVE Beautiful Development」。テーマはDDD、和智さんと企画しました。
震災のあとだったので、大人数が一処に集まるリスクを本当に取ってやるべきなのか?ということを何度か考えました。ですが、そういう状況だからこそ、人と人との関わる機会を大事にして、開発現場を頑張っていこうという以上に、前を向いて歩み始めるきっかけにしようと決め、開催しました。ちなみに、増田さんとはここが初めての出会い。思えばもう長い付き合いです。
その他、アジャイルサムライをテーマにした回もシリーズ的に開催していました。
2012年(開催数32)
再びデブサミでセッション。この年はアジャイル、スクラム、リーンスタートアップと、その方面のテーマがずいぶん増えています。
そして、DevLOVE2012の開催。2009以来の、西暦ナンバリング回です。記念サイトがまだ残っています。マルチトラック、2日間、30セッション。錚々たる話し手の皆さんが揃いました。基調講演はまつもとゆきひろさんでした。
開催趣旨にこんな言葉があります。
Communityとは、自分たちがいきいきとして成果を出すために大事にしたい価値観として捉えています。会社の中にも、地域の中にも、もちろんあらゆる組織を超えたところにも、Communityとは存在します。もはや、Communityは、会社組織に所属することよりも、長い時間軸で私たちの人生の中にあり続けるかもしれません。
この予言は成就することになります。
2013年(開催数47)
仙台、名古屋と地域への展開が進んだ年でした。テーマ的には、アジャイル、開発言語、リーンスタートアップ、UXDと、引き続き多様な内容を扱っていました。
この年の終わりは、DevLOVE現場甲子園。なんと60セッションという狂気の立て付けです。よりハンガーフライトの考え方を取り入れて「それぞれの現場での多様な取り組みを自慢し合おう」というのが出発点にありました。丸一日、10時間近くかけて。取り組み以上に、体力と気力の耐久性を競い合うような様相となりました。
こうして振り返ると、無茶をしたところも多々ありますし、数多くの出会いがあったことを実感します。こうした出会いがその後のギルドワークスという会社の設立や他の活動へと繋がっていきます。後編は、ギルドワークスを立ち上げる2014年から振り返ります。