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霞が関で、サービス開発をアジャイルにやる。

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霞が関で、サービス開発をアジャイルにやる。プロジェクトは関係者のそんな期待から始まりました。

  2018年度の間際まで、半年ほどかけてそのプロジェクトは遂行されました。制度ナビと呼ばれる構築対象のサービスは、中小企業に補助金助成金の情報を提供することを目的としていました。今もこうした情報提供は行われていますが、必ずしも、分かりやすく届けられていないのではないか、もっと企業の実情に合わせた情報の提示ができないか、といった問題意識から立ち上がったプロジェクトです。

 このプロジェクトが特徴的だったのは作るプロダクトの中身ではなく、作り方の方でした。冒頭で掲げたアジャイルにつくる」への取り組みです。アジャイルにつくる、そのこと自体は特に目新しいことではありません。ただ、その取り組みを霞が関、具体的には中小企業庁、その上部組織たる経済産業省が行うというのですから、既にその判断が大いなる一歩と言って良いでしょう。

 Code for Japanの代表の関さんから声をかけられたときは「出来るのか?」という思いがまっさきに立ちましたが、ここでトライしないで、いつアジャイルについての実践知を役立たせるのかと、思い直しました。経産省がこれまでどのようなソフトウェア開発をしてきたのか私には分かりません。ですが、アジャイルにつくるということが関係者にとって「経産省のデジタルトランスフォーメーション」に数えられるものとあれば、その取り組みが未知数であるのは明白と言えます。

 実際のところ、私が関係者の暗黙的な期待として感じ取ったのはアジャイルにつくれば、何か良い感じで出来るはずだ」というものでした。こうした期待は、「はじめてのアジャイル開発」では実によくあることです。何をつくるべきか具体的なイメージが誰の頭の中にも無い状況下ではまず価値の探索が不可欠です。私はいつものように「仮説検証型アジャイル開発」で臨むことにしました。

 果たして、経産省のプロジェクトでアジャイル開発は通用したのか? その一部始終をこちらのイベント「経産省と本気でアジャイル開発をやってみた!制度ナビPJで見えたGovTechのリアルと未来」でお届けしたいと思います*1。このプロジェクトで何を問題として捉え、どう乗り越えて、実際のところどうだったのか、対外に伝えることにはきっと意味があると、このような報告会的イベントがCode for Japan主催で企画されました。ぜひ多くのかたにご参加頂きたいと思います。

codeforjapan-govtech-20190514.peatix.com

 アジャイルへの取り組みは、いっときのことではなく、持続させていかなければなりません。それは一現場、一企業、そして一国にとっても同じく言えることです。

*1:このプロジェクトはこちらでも少し触れています。Case1が該当します。https://ichitani.com/2019/gankojin/