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The Dragon Scroll

Be just and fear not.

頭の中で二歩目、三歩目をいくら描いても、一歩目を踏んでいなければ一ミリも前に進めない。

http://instagram.com/p/KO4lQ4PoeI/

 先日、数年前に在籍していたSIer(もともと東京湾の海岸沿いにあったため、仲間内で「海岸沿いのSIer」と呼んでいた)の社内カンファレンスにお呼ばれし、話をしてきました。この社内カンファレンス、元をたとれば私が当時の仲間と拵えたもので、ボトムアップからいきなり立ち上げた、社内ではちょっとした名物イベントになっていたのでした。内容は各回テーマを決めて、社員が技術話や経験談を語るものでした。私が在籍している間に3回開催し、その後は長らく途絶えていたのですが、自分たちなりにリビルドして立ち上げ直した若者たちがおり、最近になって活発に開催されるようになっていたのでした。

 「元社員にこんなのがおったよ。何を考えて、何をし、いまこうしているよ」そんな話をして欲しいと依頼をもらい、辞めて久しい私にいまだ声をかけてくれる同朋に感謝し、一も二もなく快諾しました。自分が元居た場所に、何かおみやげを持っていけないか。何を置きに帰れば良いか。しばし考えた末、こんなことを伝えるべく、話をしたのでした。

  私は、海岸沿いのSIerに居たとき、この社内カンファレンスのように組織の境界を越えるという試み。そして、境界を越えて集まった人たちでもっと自分たちが仕事で値打ちを出せるよう、互いの経験から学び合うという場作りをやりました。簡単にいうと、越境とコミュニティです。自分みたいな人間がそんなことをできるとは、思ってもいなかった。組織を越えて何かしでかすのも、いろんな人を巻き込んで場をつくるのも、とても怖いことだった。

 でも、とある社外のカンファレンスに行ったときにある人の越境せんとする話を聞いて、「私も言い訳をしたくない、前に進みたい」と強く思ったんですね。そうして、一歩を踏み出したとき、直ぐにもう一歩が踏めた。もう一歩が踏めたら、さらに一歩が出せた。二歩目を出せるのは、一歩目を出せた人だけ。当たり前だけど、頭の中で二歩目、三歩目をいくら描いても、一歩目を踏んでいなければ一ミリも前に進めない

 越境とは組織の壁を越えるだけにあらず。前提や前例に縛られず、行動していくということ。コミュニティも、ただ人の集まりを指すだけにあらず。一人一人、得意とするところ、強みとするところがある中で、互いの持っているイイところを集めて、補いあい、そして、卓越した成果をあげる、困難を乗り越える集まりのこと。私がここにいたことで学んだ、この二つのこと。今この二つを頼りに、会社をつくり、仕事をしています。

 ここで社内カンファレンスを私が開くことはないし、ここで私が皆と働くことはない。でも、ずっと続いている。ずっと続いているという感覚が私にはあります。おそらく変わったのは、「組織の中でやれることをやる」のではなく、「成し遂げたいことがあるために場をつくり、それを育むこと」なのです。成し遂げたいこと、大事にしたいことの「中心」にあるものは、あの時、一歩目を踏んだときから変わっていない。だから、あの時の日々に、周りにいた人に、いまも感謝している。

 何か新しいことをするとき、一線を踏み越えていくとき、「そんなに苦労してどうなるの?そんなのムダじゃない」という人がいるかもしれない。気にすることはない。ムダだと言ってあなたを笑う人がいて彼のいうことを聞いたとして、果たして彼が自分の言葉に責任を持って何かしてくれるというのか?いやむしろ、彼に何かをして欲しいと望むか?今、自分が大切なことだと感じたことをやればいい。

 不安になるかもしれない。誰しも不安がきっとある。私にもある。しかし、思い出さねばならない。我々は誇らしかった過去の辻褄合わせのために生きているわけでも、きっといつか輝かくだろう未だ見ぬ未来を糧にして生きているわけでもない。心配すんな。過去はふりかえれば、たいてい今を生きる支えになってくれる。自分の人生を生きろ。そして、同じ方角を見ている、ともに歩む仲間とともに、進め。*1

*1:これは DevLove AdventCalendar 2014「越境」の70日目のエントリです。