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ソフトウェア開発の現場パターン -アジャイル型開発におけるプラクティス活用事例調査-

 

 Agile2012に行って帰ってきて、結果として3つのことをやろうと思った。最初から考えていたわけではなく、今から考えると、3つあったんだということ。1つは、Agile2012のように活動家たちが集まれる場を作ること。これは、UltimateAgilistTokyoというカタチになった(「日本にも10年かけて育ってきた、"Agile"がある。)。Agile2012で海外のAgileの片鱗を垣間見ることが出来た。次は、日本の現場を訪ねてみたいと思った。日本の現場で育まれているであろう、様々なAgileのカタチを見てみたかった。海外と日本、それぞれから感じるものとその違いを確かめたくなった。これが、もう1つのやりたいことだった(残りのもう1つについてはまたの機会に)。

 とてもタイミング良く、IPAで国内のアジャイル開発におけるプラクティス活用事例をまとめたいという事案が上がり、先のような個人的な思い入れもあって、この渡り船に乗らせてもらうことにした。

 事例をまとめるために、日本各地の現場に伺わせて頂きました。時間を割いて、アンケートとヒアリングにご協力頂いた皆さんにとても感謝しています。皆さんの現場の生々しく、そして、いきいきとした創意工夫を伺えたことは、私にとってたいへんな財産です。先の活動家たちが集まれる場で掲げた「日本にも10年かけて育ってきた、"Agile"がある」のを、正に感じ取ることができました。

 まとめたレポートには、様々な現場の工夫が織り込まれており、何らかの課題にあたる際に参考にして頂けるよう、パターン・ランゲージの記述形式を取っている。プラクティスの実践にあたっては、現場現場のコンテキストに影響される部分が大きいはずで、やはり工夫が必要になると思う。それでも、このパターン集が、様々な現場でその工夫の足がかりとなって、現場の開発の先を照らすようなランタンの役割を担えるとしたら、とても嬉しいし、そうなることを願っている。

「アジャイル型開発におけるプラクティス活用事例調査」の報告書とリファレンスガイドを公開

  今回の調査、ガイド作成は、懸田さん、本橋さん、木下さん、そして、私の4人で取り掛かった。お三方と仕事が出来たこともまた良い経験でした。半ば挫けそうな時もありましたが、先輩諸氏のおかげで私も最後まで見届けることが出来ました。感謝します。

 さて、このガイドはある時点でのスナップショットであり、もちろん現場では日々新たな工夫が生まれているわけで、本来このまとめ作業には終わりがありません(!)。この文書に関するフィードバックや、新たなプラクティスを何らかの形で残していけるように何か考えたいとも書き手では話しています。これを出発点にして、日本の現場の財産になっていけたら、良いなぁ。

 

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