The Dragon Scroll

Be just and fear not.

「ソーシャルメディアの夜明け」

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ソーシャルメディアの夜明けを読んだ。

最初は前面に出てきている著者のソーシャルメディアのラブさ加減に、2年〜3年前ならともかく今更特筆するべきことではないでしょ、と敬遠気味だった。ところが第2章あたりから、様相が変わる。モノを作るという視点からのソーシャルの捉え方に、次第に引きこまれていく。筆者はモノ作りとしてリアルプロダクティングを提唱する。リアルタイム、物語、集大成という3つのキーワードで定義された、ソーシャルなモノ作りのことだ。ここでいう物語とは、モノ作りの過程のことであり、作り手と受け手とで共有されるものだ。物語の結末として、プロダクトが生まれる。モノ作りというコトの世界に、作り手だけでなく受け手というロール、視点を持ち込む考えは、ソフトウェア開発においても新しい視野となると感じている。

私がこの本を買ってまで読みたいと思ったのは、第3章があったからだ。筆者の経験として、"ビジネスモデル病"を語り口に展開されていく。筆者の定義したビジネスモデル病とは、物事の根幹にあるものを見ようとせず、表面的なところでビジネスをする傾向のことだ。パワーポイントを何十枚と書き、会議室で何時間と過ごし、プレゼン、プレゼン、プレゼン。筆者はこの過程でさまざまなものを失い、やがてモノ作りへと回帰していくことになる。物事の根幹とは、モノ作りだった。このあたりを読んで、最近感じていた自分の言語化したい思いをはっきりとすることができた。このところ、ビジネスモデルやモノ作り以前に、多くの時間を費やしている。それは今必要だからこそ、もちろん注力しているわけだが、私個人として見たとき、このままで良いのかという恐れにも似た感情を自分の中に発見するのだ。ソーシャルメディアの夜明けは、そんな私の感情をはっきりとさらけ出させる存在になった。