The Dragon Scroll

Be just and fear not.

学びのプラクティスマップ

先日、とある集まりで出会った方と
「ダイアログは確かに良いものだけど、なかなか次の行動に繋がらないのでは。」
という話をしたところ、確かにそういう面はあるかもしれないとして、なので、
「体験することで、行動に繋がることもあるかもしれない。」
という言葉を返してもらった。
ああ、なるほど、それは昨今よく開かれている「ブートキャンプ」*1を指すの
かもしれないな、と思い、自分たちがどうやって学んでいるのか
整理したくなった。
幸いにして、コミュニティの運営に長く携わっているので、その切り口だと
考え易い。


結果、こういうイメージになった。

インプットと、アウトプット。机上でやること、実地にやること。
この4つのパラメータの度合いに基づく、4象限で整理してみる。
すると、まず、インプット・アウトプットどちらの面も持ち合わせる
ものがあり、これをインアウトとしてプロットした。


図のとおり、「机上」「インプット」は、本を読んだり、誰かの話を聞いたり
セミナー形式の勉強会もここにあてはまる。
「机上」「インアウト」には、対話、ブレストをはめた。誰かの話を受けて、
そこから自分の考えや見方を出していく。インプット、アウトプットが
同時に起きている。
「机上」「アウトプット」には、文章、ブログに整理したり、勉強会で発表側として
話すことが、ここにはまる。人によってはtwitterのつぶやきも。


また、実地の方は、「実地」「インプット」のところで少し悩んだ。
ここは、何らかの観察、例えば、ライブコーディングを観ること等があてはまる。
「実地」「インアウト」は、インプットとしてのテキストがあり、実際に自分で
手を動かしてそれに倣いながら学ぶ、写経がプロットできる。
最後に「実地」「アウトプット」は、一定のガイド等を足がかりにしつつ、
自分の想像を働かせたり、工夫を編み出しながら、アウトプットを作ること。
例えば、DevLOVEで開催したアジャイルサムライの道場では、インセプションデッキの
テンプレートをインプットに、その場で各自で、コンテンツを作るワークを行った。
「実地」「アウトプット」のイメージだ。


ここで、軸を振り返ってみて、気づいたことがあった。
そもそも机上、実地のメリットとは何だろうか。
実地の優位性は理解しやすい。実践に近い体験をすることで、実践の前に失敗どころを
知ることができる。行為の経験値を積むことができる。
机上の方には、時間的コスト的優位性がある。実地するためには、相応の準備が
必要だが、本を読むなら寝ながらでもできる。もちろん、1人でできることと、
複数人でやることでは、そうとも言えないところがあるので、「人数」の軸も入れた
整理が必要かもしれない。


また、横軸の行為の目的について考えてみると、
「インプット」は、ドメインの知識量の底上げにあり、「インアウト」は、
知識の深掘りにあると言える。何かをインすれば、疑問点が湧く。
それをアウトすることで知識を鍛えていく。
「アウトプット」は、発見にある。実際にやってみて、気付いたことはこの行為での
宝だ。新たに気づいたことの裏付けを、他のインプットに求めるなど、
次の行為に繋がる。


そう、ここにマッピングした行為は1つ1つ独立したものとして考えるべきではなく
まずは知識量の底上げをし(インプット)、誰かとそのことについて話をし(インアウト)、
ブログに整理する(アウトプット)など、行為の連続性から生まれる学習効果を
計算するべきだ。このパタンの組合せから新たな発見が生まれる可能性がある。


さて、この整理が何に役に立つだろうか。
例えば、業務アプリケーションの開発でよくある、「顧客業務の理解」について
行為のマッピングを行ってみた。

ソフトウェア開発という仕事は、学びの繰り返しで構成されるため*2
どういう目的でどうやって学ぶかの整理は、開発現場で役に立つこともあるだろう。
*3

*1:http://d.hatena.ne.jp/t-wada/20091219/p1

*2:もちろん他の仕事でも言えることだろう

*3:各象限で挙げたプラクティスは私が1時間程度で考えたものなので、当然ながら、コンテキストに応じて自分で作ってみると良いと思う。