The Dragon Scroll

Be just and fear not.

世界を2つに分け隔てる前に、我々の世界は多様で、それでいて繋がることが出来る。

世界のすべてをテストする前の話

2年前社内のイベント運営で出会った、彼女は、控えめに、だが話し出したら加速度的にテストについて、
語る人だった。テストの世界は、私がいる世界とは、また違う空気があるのだろうと思っていた。
興味はあるが、そちらの世界と関わる機会はなかなか訪れなかった。お互いの世界は、微妙な距離感を
持って、バランスを保っているとでも言うのだろうか。
下手に踏み込んで、お互いを傷つけてしまわぬように。
この2つの世界の間に、何か壁があるとしたら。
それを打ち破って、壁の向こう側にいる人の本当の言葉を聴いてみたいと思った。
控えめな言葉ではなくて、腹の底にある言葉を。
2つの世界が分かれていて、上手く行くほど、ソフトウェア開発は易しくない。

私のテスト祭りが既に半分終わっていた件

角谷HTML化計画を読んでいると、時折、一人のテスト駆動開発者の方が登場します。*1
まだ、アジャイルという言葉が聴きなれない頃に、TDDを得物として、アジャイルのコーチを
されていたという。
テストをテーマとするならば、この方の話を是非とも聴きたいと思っていました。
もちろんid:t-wadaさんです。
私はXPJUGのスタッフでもあるのですが、t-wadaさんとはきちんとお話をしたことがありませんでした。
t-wadaさんの話はなんとしても聴きたいが、私が講演の依頼をしたところで、あまりにも唐突すぎる。
誰かに紹介してもらおうかと、さんざん迷った挙句、直接依頼することを決めました。
なぜならば、本当に、t-wadaさんに話をして欲しいと思うならば、自分が、本人に、自分の言葉で、
頼むべきだと思ったからです。そこに、他の人の言葉を使ってはいけないと思いました。
案に反して、t-wadaさんは、快諾して下さいました。
イベントの事前打合せで、t-wadaさんが放った、この言葉を、聴いたとき、私のテスト祭りは、
既に半分くらい終わったのだと気づきました。
「テストとは、自分のバカさ加減を知るためのもの」 - papandaDiary - Be just and fear not.
和田さん、私のテストの世界は始まったばかりのようです。

"テスト計画も変化に合わせて作り続けるんだ"

t-wadaさんにDeveloperTestingを語って頂くとしたら、その一方にあるテストの世界については、
この人に話をしてもらうしかないと確信していました。
鈴木三紀夫さんです。

マインドマップから始めるソフトウェアテスト

マインドマップから始めるソフトウェアテスト

鈴木さんの文章は、弊社の社内SNSでふんだんに読むことができます。その言葉を、社外の方に
伝えられないのを残念と思うと同時に、数少ない特権のひとつなのかもしれません。
ご講演は、相変わらずITの話をしているとは思えない、独特の語り口調でした。
内容では、fkinoさんもブログで書かれているところ
"テスト計画も変化に合わせて作り続けるんだ"という言葉が、新鮮でした。
これは、多くのデベロッパーに伝えたい言葉です。

世界を2つに分け隔てる前に、我々の世界は多様で、それでいて繋がることが出来る。

今回のDevLOVEの感想ブログには、"devlove-mgt"というタグをつけています。
http://b.hatena.ne.jp/t/devlove-mgt?sort=eid
こうしたブログを読んでいても、当日の懇親会を眺めたときも感じたことなのですが、
我々の世界は、開発とテストの2つの世界に分け隔てる、それ以前に、余程多様性に満ちています。
(GroovyとSeasarと要求開発とCCPMの人が座るテーブルで一体、何を話したらいいのだろう?)
異なる互いを知り、(相手が自分を認められなくても、少なくとも自分は相手を)認めることで、
次の前進が生まれる。
世界のすべてをテストせよ、とはそれぞれ2つの世界で別々にテストをするのではなく、もともと
最初から1つしかない世界で、それぞれの役割を果たそうということです。


今回のDevLOVEを開催したとき、仕事が恐ろしく忙しい状況にありました。
しかし、一緒に仕事をしている後輩に、どうしても、今回のDevLOVEの話を聴いて欲しいと思い、
強引に誘い出しました。
私も無理していたけど、彼もまた無理をしていたはず(体力的に)。来てくれて本当にありがとう。


最後に。
ご講演頂いた、和田さん、鈴木さん。
ライトニングトーカーの、井芹さん、近江さん、中島さん、佐々木さん、川西さん。
ご参加頂いた全ての皆様。
そして、運営スタッフの皆様。
ありがとうございましたっ!

*1:最初は、TDDというよりは、xUnitTestPatternsの本をばらばらにするので、有名な方なんだと理解していました。分厚い本を切る - t-wadaの日記