The Dragon Scroll

Be just and fear not.

CCPMから、CCPFへ。

CCPMというプロジェクト管理のための方法論がある。
CCPMに関する原典はこちら。

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

かなり分かりやすく書かれたものがこちら。
CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント

CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント

CCPMとは、作業バッファをプロジェクト全体で管理しましょう、
というものだ。
各作業者が、作業を見積もり、それをリーダがまとめて、
線表を引き、プロマネがスケジュールを提出する、
ということをやっていると、
作業者のレイヤー、リーダのレイヤー、プロマネのレイヤー、
それぞれでバッファが積まれる可能性がある。
全体として見ると、相当バッファが積まれることになるが、
プロジェクトが納期より早く終わるという事は無い。
バッファは、パーキンソンの法則や、学生症候群によって、
消費され、残ることはない。
また、タスクには、先行後続関係があるため、
先にあるタスクのうち、一つが前倒しして終わったとしても、
全てのタスクが終わらないと始められない後続のタスクは、
その前倒しによる恩恵を受けることはない。
むしろ、遅れのみが伝播する。


CCPMでは、各レイヤーに存在するバッファを全て
巻き取り、一つにまとめる。それがプロジェクトバッファだ。
作業者は、バッファが無い状態で作業を行うが、
何らかの理由により、作業が遅れた場合にはプロジェクトバッファを
切り崩すことで、その遅れを吸収してもらうことができる。
プロジェクト全体のバッファに守られることになる。
プロジェクト管理者は、このバッファが、後どのくらいあるかを
管理すれば良い。


CCPMを実際に、プロジェクトに適用してみたことがある。
結果から、書くと、効果はあった。
見積もり上、納期が厳しいプロジェクトであったが、
バッファコントロールによって、これをクリアすることができた。
CCPMの効果を実感できたとともに、その難しさも体験した。
一番、頭を悩ましたのは、この部分。

CCPMでは、各レイヤーに存在するバッファを全て
巻き取り、一つにまとめる。それがプロジェクトバッファだ。

これは、チームメンバーから、バッファを剥ぎ取る作業だ。
当然、メンバーからは抵抗が生まれる。
メンバーのレイヤーでリスクへの対処ができなくなるからだ。
CCPMでは、このメンバー毎に生まれるリスクを、
チーム全体で、背負うという考え方なのだが、
これが、メンバーにとってはなかなか受け入れにくいところがある。
それは、メンバーに、まだ、チームとして仕事をするのだという
意識が、生まれていない証拠だといえる。


そう、CCPMを実践するにあたって、特に必要とされるのは、
チームで仕事をするという、共通認識だ。
チームとしての一体感が必要なのだ。
これをいかに、醸成するかが、ポイントになってくる。
メンバーは、自分の仕事が、全体の中で、どういう位置にあり、
それが、他の仕事へどういう影響を与えるのか、
知っておく必要がある。
プランニング、見積もりを、リーダが密室の中で一人作ったと
したら、それは、チームメンバーには受け入れられないだろう。
チームでそれを行なわなければならない。
チーム内のコミュニケーションができているか、信頼関係が築けているかは
最も注意を払うべきことである。


一方、コミュニケーション、信頼関係に価値を置く考え方として
PF(プロジェクトファシリテーション)がある。
PFの詳しい説明はこちら。
- プロジェクトファシリテーションTOP
CCPMに必要な、メンバーの協調関係を、PFで醸成する。
オブラブのサイトでは、プロジェクトにとって、
PMを動脈、PFを静脈としている。
どちらも必要なものとして、定義している。
CCPMというPMと、PFはまさに出会うべきマッシュアップだったと
いえる。