何の花か、僕にはさっぱり分からなかったが、花は咲き誇っていた。
31日は、本稼動前の待機で、徹夜だった。
バッチが一通り流れた後、客先のオフィスで、机に突っ伏す感じで僕は仮眠を取った。
ふと目が覚めると、上半身に何かが掛かっているのが分かった。
誰かが、ひざ掛けか何かをかけてくれたらしい。お客さま側のプロマネだった。
薄いひざ掛けだったけど、とても暖かかった。
お客さまとの関係は12月くらいから酷いものになっていた。
本番稼動を迎えるにあたり、データの移行や業務の移行支援で、お客さまのプロマネは
多忙を極め、我々との意思疎通が困難な状況に陥っていた。
とはいえ、お客さまの時間を頂いて、決め事を決めていかなければならない。
僕たちは、まるで匍匐前進するかのように、一歩一歩進んでいった。
時折発生する不具合や作業ミスをそんな状況のお客さまに報告しなければならない。
針のムシロどころじゃない。相手の冷たい目に心が何度も折れた。
こんなに追い詰められた関係は、初めてだった。
明けて、2月1日、業務は回り始めた。特に問題は起きていない。
業務のメールも飛んでいる。それを見届けて、僕は、自分の仕事が
今終わったことを実感した。
ここまでやってくるために、どれだけの時間とパワーと思いと気力を
消耗してきたか。
去年の夏からずっと、このプロジェクトに掛かりっきりだった。
僕だけではない。現実の話、沢山の他の人の涙も詰まっている。
僕は自分に課した使命感をむしろ心の支えにしていた。
この思いだけは、逃げようとする私の襟首を捕まえて離さなかった。 - papandaDiary - Be just and fear not.
いつもいつも、良いチームで仕事ができるわけではない。
僕の悩みの半分は、むしろメンバとの関係だった。
良いチームの遺伝子は、生き続ける。 - papandaDiary - Be just and fear not.
最後にお客さまへの挨拶周りを行った。荷造りを終えて、オフィスを出るときに
お客さまのプロマネから花束をもらった。
何の花か、僕にはさっぱり分からなかったが、花は咲き誇っていた。
帰り道、僕は、一人、近くのキリンシティへ行った。
まだ夕方ということもあり、人は少ない。この店の店長とはいつの間にか
懇意になっていた。だから最後に来る店はここだろうと決めていた。
キリンブラウマイスターを飲んでいると、とある方からメールが飛んできた。
一緒に飲まないかのお誘いだった。
とても嬉しかった。でも、今回はお断りした。
僕は、その時きっと泣く。 - papandaDiary - Be just and fear not.
とにかく一度、泣かないと収まりがつかなかった。
それ以外に、自分の感情にどう決着をつければよいか分からなかった。
だから僕は、やっぱり号泣したんだ。