The Dragon Scroll

Be just and fear not.

情報サービス企業、4つの分類。

情報サービス業の企業はいくつかに分類することができる。
その一つの分類の仕方として、資本関係による分類がある。

  1. 外資
  2. ユーザ系
  3. メーカ系
  4. 独立系


以下、私の実体験を元にした考察。

外資

本社が海外になる企業、日本法人。
名前を挙げると、日本でも有名どころが並ぶ。
日本では、主にミドルウェア企業が有名だろう。


一度、某ミドルウェア企業の面接を受けたことがある。
その企業は、本社は米国になり、日本での採用職種には、
基本的にSIを担当するエンジニアや開発職は存在しなかった。
本国が製造するパッケージの日本語版を製造するために
開発職は一部存在したが、創造の余地はないのかもしれない。


パッケージビジネスを展開する企業であるため、
募集されるエンジニアは、営業かサポートエンジニアか
コンサルタント
ここでのサポートエンジニアというのは、現地ユーザからの
問い合わせに対応しつつ、本国と連絡を取るという
窓口エンジニアであった。


あまり、創造性豊かな職種は見当たらなかった。
まあ、コアな部分は本国が担い、所詮日本は、ローカルの
一つであることを考えると、当然と言えば当然か。


後は、日本法人自体が、川瀬に浮かぶ笹船のような
印象がある。本国の意向次第で、トップダウンで、どうにでもなる。
そんなイメージは、実際面接をしていても感じた。


以上は、私の個人的な所感であり、実際、
外資系の割り切ったやり方が好ましいという方も
大勢いるのだろう。なお、年収は相当高めであった。

ユーザ系

親会社が、情報サービスとは別の業種である企業。
銀行や、保険、物流、商社、製鉄会社などのシステム
子会社になる。
この分類の情報サービス企業は少なくない。


親会社の制度や風土を受け継いでいるケースがあり、
メーカ系と異なり、親会社が全く別の業界であるため、
その子会社も多種多様な企業が揃っており面白い。


ユーザ系の特色にひとつに、「親会社もしくはグループ企業のために
存在する情報システム部門である」というものがある。


取引先のほとんどが、親会社系列であるということだ。
親会社系列以外の売上を外販と呼び、そちらをなんとか
伸ばそうという方針を掲げているところもあるようだ。
親会社に依存する体質を脱却するのが狙いだ。


これはメーカ系企業にも言える。
しかし、ユーザ系企業は、メーカ系企業に比べ、
特に情報システム部門としての色合いが濃いため、
既存システムの保守・運用が大半を占めることがある。


逆に、この点は、他の企業に比べて、強みにもなる。
営業をかける必要もなく、案件を安定的に手にすることが
できるからだ。この点は、独立系企業に比べ大きな
メリットになる。

メーカ系

家電メーカやPC製造メーカの大手を親会社とする。
こちらも、メーカ系のメリットとして、親会社経由の
案件の受注が多いことが上げられる。
また、企業制度の点で、親会社の制度を引き継いでいることが
多い(健康保険組合も、親会社のそれに加入したり)。


一方、メーカ系企業の案件の製造工程の人足補充や、無茶な
案件の応援や、それこそ受注などもある。
ユーザ系企業と比べて、メーカ系は親会社もSIビジネスを
展開していることが多いからだ。
そのため、グループ全体として見た場合、事業領域が
重複してしまうため、住み分け等の処置を行う。

(この住み分けと称する、グループ再編や方針決定が
 時に曲者であったりすることもあるのだが。)


メーカ系ならではの特徴として、親会社の製品を自社の
案件に適用することが多い点がある。
どちらかというと、「適用をお願いされる」と言えるかも
しれない。
親会社の製品を適用する場合、メリットとしては、
サポート力が断然強くなるということが上げられる。
このメリットは案外大きい。
実際、混沌とした状況に陥った時に、親会社の支援を
受けれるというのは大きい(当たり前か)。


一方、デメリットは、その製品群が、縛りになる可能性が
あるということだ。
Webアプリケーションサーバに何を使う?といった時に
やはり親会社のものを使うことになる可能性が高い。
デファクトは、外資系のものが多いのだが…。


メーカ系の傾向として、企業として安定的な点が上げられる。
その分、保守的になる指向も持ち合わせているように思う。

独立系

やはり、この業界の縁の下で(物理的な意味で)支えている企業は
この分類のものでしょう。
資本的に独立しているという分類になる。


規模の小さなn次請け企業から、プライムを張る大きな企業まで。
あるいはそういった枠組みにもとらわれない多種多様な企業が
雨後の筍の如く乱立しているわけです。


ビジネスが弱い企業が多いように思う。
それもそのはず、n次請けであれば、特に多数の営業を
抱える必要もなく、部課長が、せっせと人の手配を
すれば良いからである。


さすがに、プライムを張ってやっていこうと思ったときに
人売りベースではできない。
その企業の強みを活かした、営業が必要になる(はずだ)。


資本的には独立しているため、特に親会社の意向への
配慮といった、政治的な動きは不要になる。
それは、逆に、本当の意味で、独立独歩で渡っていかなければ
いけないことを意味する。


それに起因するのか、独立系はなかなかにしたたかで、シビアである。
そのシビアさが、内に向かっていることもあり、独特の
考え方に、呆然とすることもしばしばある。


以上のように、分類したものの、あまりこの分類に深い意味は
ないように思っている。
分類によって、ある程度の指向性は存在するが、結局のところ
会社と自分は1対1の関係なのだ。
どのような企業だって、良い面と悪い面がある。
そして、それは、個人によって印象が異なる。
その会社とどれだけ自分のベクトルが合うかというところに
尽きる。

(保守的にみられるメーカ系でも、中には、Web2.0企業の
 ようなライトウェイトな企業もあるかもしれないし。)

そして、入ったその先で、自分が描いている思いや目標が
どれだけ達成できるかが、重要なのだと考える。
本分は、会社に行くのではなく、仕事に行くということなのだから。