The Dragon Scroll

Be just and fear not.

豆腐屋2.0

風に吹かれて豆腐屋ジョニー
男前豆腐
「厚揚番長」


こんな名前の豆腐や、厚揚がスーパに売っていたら、どう思います?
しかも、通常の豆腐の3倍の値段がするんです。


「なんやコレ?!高!」


その豆腐は避けて、横の2パック80円の豆腐を手にして、
売り場から離れます。


「……」


しかし、頭に引っかかって、離れません。
だって、男前豆腐ですよ。


引き返して、「ジョニー」を購入。
量も半端ではない。
豆腐のサイズは、個食化に伴い、とても小さくなってきているんです。
その流れに、完全に逆行する巨大さ。


普通食べきれるかなと心配になりますが、一口食べれば、誰もがその心配は
無用だったと気付き、次の日もスーパーで「ジョニー」を手に取っている
はずです。


舌触りは、まるでババロアのように滑らか。
味わいは、濃厚。昔、実家で食べた本当の豆腐の味がします。
その濃厚さが、いつまでも舌に残るんです。


薬味や、醤油は不要。
とりあえず、そのまま食べれば、その男前さがわかるというものです。


そんな、美味しくて、キャラの立ちまくっている豆腐を、世に送り出した
伊藤信吾さんの書籍が、風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)なのです。


風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)

風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)


ひとしきり読み終えて、感想。


「これ、ある意味豆腐屋2.0だよな」


従来の豆腐の概念にこだわらず、本当に美味しい豆腐を作り出すことに
専念する。そして、美味しさだけでなく、楽しさも盛り込んだ、
全く今までにはない豆腐を生み出す。


例えば、充填豆腐という製法がある。豆乳をいったん冷やし、凝固剤を
加えて、それらを一緒に容器に注入する。
容器を密閉し、再度加熱して凝固させるというもの。
この手法は、機械化大量生産に向いていたらしく、作られる豆腐も
日持ちが良くなるということで、戦後の機械化発展とともに普及する
こととなった。


その結果、薄い豆乳に大量の凝固剤を入れて作られた、尋常じゃない安さの
「味の薄い豆腐」が、売り場を占めることになる。
(私は、当初「豆腐ってこんなもんでしょ」と思っていました。
 むしろ、つるんとした食感が楽しめる。
 しかし、一度、家で豆腐を作ってから、考えが変わりました。
 豆腐は、作り方と分量によっては、大豆の味が驚く程濃厚に詰まった、
 まるで別の食べ物になるのです。
 濃厚な豆腐を食べてからは、スーパーにある豆腐なんて、正直
 食べたくなくなります。
 「ナントカ職人」とか「ホゲ流仕込み」とかいう、ちょっと高めの
 豆腐も食べましたが、ほとんど味は変わりません。)


伊藤さんは、この充填豆腐を使って、逆に濃厚な美味しい豆腐を
作り出している。濃厚でしかも、充填豆腐ならではのつるっとした食感。
その豆腐のパッケージのデザインは、必要以上にキャラが
立っていて、心を捕らえては、離さない。
切り絵作家さんとのコラボも生まれて、まさにマッシュアップ


味方がだれもいなくなるくらい、突き詰めて、こだわったモノ作りを
されているそうです。
職人という点では、SEも同じ。
今までにはない、より良いものを作る。
そのためには、既存の概念を、時には破り、時には流用する。
そして、自分も作ることが楽しくなってくる。
もの作りは、本来、楽しいものですから。


男前なHPはこちら↓
http://otokomae.jp/index_ja.html
お薦めは、ドンドコダンスです。