The Dragon Scroll

Be just and fear not.

ふりかえり〜(12)自分の手で再現する

私の混乱は深まるばかりでしたが、先輩のおかげで、PJは
回っていました。結合テストは完了に近づき、システムテストの準備に
さしかかろうとしていた、ある年の暮れ頃。
私は、別案件で、同じ先輩について、データベースの保守作業を
行うことになりました。


内容は、年末の業務停止期間を利用しての、データベースのお掃除。
領域の断片化の解消や、オブジェクトの整理、パッチ当て等を行います。
簡単な作業ですが、データの容量が大きいため、インポートに非常に
時間がかかり、結構待ち時間が発生しました。
その時間を利用して、私は、先輩に相談を持ちかけました。


先輩との関係も相当冷えていました。
しかし、この転職が失敗に終わることは無いようにしたかったのです。
そうでなければ、今まで、転職を支援してきてれた、家族や親、
あの激励してくれたPLに報いることができません。


私「3ヶ月も経ちましたが、どうも何もかもしっくりきていません…。」
先輩「それは、ゼロベースで物事を考えていないからや。突き詰めて物事を考えきれてない。」


先輩は、待っていたかのように、この他にも話をしてくれました。
・ゼロベースで考える
・MECE
よく言われることかもしれません。私も言われてなくても、その言葉の意味は
わかっていました。
しかし、それを実践できていた訳ではありません。
そして、今、それが必要なのだということにも気付いていませんでした。


わかったふりばかりしていないか?
一面的、部分的なところで理解しようとしていないか?
自分がユーザ視点に立って、理解しようとしているか?業務フローは書けるのか?


結局私は、わかっていませんでした。
それでいて、自分の考えや、やり方に固執していました。
何かを理解するためには、本当に突き詰めて物事を考えなければなりません。
自分の目で確かめなければならないし、自分の手で再現できなければならないのです。
ユーザの業務を理解しなければ、そのシステムの目的もわかりません。
目的が分からなければ、あるべき姿もわかりません。
そして、実現したシステムの仕様の意味するところもわかりません。


SEの目的は、システムを単に構築することではありません。
顧客の投資に対し効果を出す、例えば顧客業務の改善を実現することが
目的です。システムは手段でしかない。


私は、ようやく一歩進み出ることができました。