The Dragon Scroll

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イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

少し古い本ですが、本質は色褪せていません。
この本では、「破壊的技術」が、既存技術で市場を支配する「優良企業」を
滅ぼす過程を詳説しています。
破壊的技術というのは、既存技術を凌駕するモノであり、市場の
後発企業が、これを武器に、優良企業を喰ってしまうわけです。
ではなぜ、既存技術をおさえている優良企業は、この破壊的技術を
市場に投入することなく、後発企業にしてやられてしまうのか。
「優良企業」には、十分に、このような破壊的技術をもおさえる
資質があるにも関わらずです。
(だからこそ「優良」と呼ばれるわけです)

これに対する一つの解が、優良企業ほど、既存ユーザのニーズに
答えるように働くということです。
既存ユーザは、既存技術の製品のサポートを望んでおり、市場の支配者には
これを要求します。
優良企業は、顧客満足度の向上のために、既存技術の上に立った製品を
保護します。
これが、「ジレンマ」です。顧客満足を目的としているにも関わらず、
優良企業は、逆に追い込まれてしまうのです。
実は、企業の投資というのは、顧客が支配しているわけです。


これは、SI業界における、クラサバアプリとWebアプリの関係に
少し似ているかもしれないと思いました。
クラサバ全盛時にVBで作られた既存システムの延命を、基本的に
ユーザは考えます。それに応えるために、SIerもクラサバ開発者を
抱え込むわけです。
しかし、Webアプリが登場し、新しい技術で市場を席巻し始める…。
その準備ができていた企業が、次のゲームの支配者になるわけです。